日本財団 図書館


 

Table 3 transmission power and receiving S/N ratio

385-1.gif

385-2.gif

Fig.5 Transmission electric power and the ratio 」? signal and noise(S/N ratio)

この結果から、海況6においても42〜60dBμPaのS/N比が確保されていることが解る。一般に、データ伝送における受信側でのS/N比は14dB以上必要であると言われている3)ことから、送信電力は最も低い0.6W程度でも伝送が可能であり、さらに省電力化を行える可能性がある。
送受波器を相互距離50m、水深3mに設定した場合のマルチパスの影響と、同条件でのシミュレーション結果をFig.6に示す。水槽での観測波形とシミュレーションの結果はほぼ一致している。観測された波形の第1群は直接受波器に到達したものであり、第2群は水槽の底面と水面に反射して、双方の合成波による外乱である。シミュレーションは、マルチパスの現象が周波数の変更によるスケーリング効果を起こさないことから、水深4000m、相互距離1000mに配置された基幹部、移動体の通信時のマルチパスを検討をする手段として必要であり、その妥当性を検証するために実験と同じ条件で比較した。
マルチパスヘの対処は以下の方策が考えられる。
(1)適応フィルタ等の導入によって、データ伝送用音響モデムにマルチパスが発生しても正常に動作できるような対策を施す。
(2)基幹部、移動体の設置条件によりマルチパスの発生が無いようにする。

385-3.gif

Fig.6 Observad wave form (upper) and computer simulation (lower) of ultrasonic multi-pass

(1)に関しては現在検討中である。設置条件については以下のことが利用できる。
・基幹部、移動体共に海底より距離を設けることにより海底からの反射波の遅れ時間を大きくする。
・一回のデータ伝送時間に制限を加え、マルチパスによる外乱が発生している間(Fig6:第2群波形)は、伝送を休止する。
以上の条件を具体化するためにシミュレーションを行った。その結果をTable4に示す。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION